← コラム一覧へ戻る
大学入試分析公開 2026年6月27日更新 2026年6月27日

共通テスト「情報Ⅰ」の配点と出題傾向|大問別に見る対策ポイント

共通テスト「情報Ⅰ」は、プログラミングだけでなく、知識・読解・条件整理・データ活用を組み合わせて考える科目です。この記事では、情報Ⅰの配点、出題傾向、大問別の対策ポイントを整理し、塾で短期講座や夏期講習として扱う場合の考え方も紹介します。

#共通テスト#情報Ⅰ#大学入試#学習塾#教材作成#教務改善

2025年度大学入学共通テストから、新課程に対応した入試が始まり、「情報Ⅰ」が新たに共通テストの科目として加わりました。

情報Ⅰというと、「プログラミングの科目」「パソコンが得意な生徒が有利な科目」というイメージを持たれやすいかもしれません。しかし、実際の共通テスト情報Ⅰを見ると、情報Ⅰはプログラミングだけの科目ではありません

情報Ⅰでは、情報社会、情報デザイン、ネットワーク、セキュリティ、データベース、データ活用、アルゴリズム、プログラミングなど、幅広い内容が扱われます。そして共通テストでは、それらの知識を前提に、問題文や図表、データ、プログラムを読み取り、条件に合わせて考える力が問われます。

つまり情報Ⅰは、知識暗記だけでも、プログラミング練習だけでも不十分な科目です。

この記事では、情報Ⅰという科目の特徴を整理したうえで、大学入試における配点、2025年度・2026年度の出題傾向、大問別の対策ポイントを分析します。最後に、学習塾で短期講座や夏期講習として扱う場合の考え方にも触れます。

情報Ⅰとはどんな科目か

情報Ⅰは、2022年度から実施された新しい高等学校学習指導要領で設けられた共通必履修科目です。

文部科学省は、情報Ⅰについて、全ての生徒がプログラミングに加えて、ネットワーク、情報セキュリティ、データベースの基礎などを学ぶ科目として位置づけています。

ここで重要なのは、情報Ⅰが「プログラミングだけの科目」ではないという点です。

図1:情報Ⅰで扱う主な領域

領域主な内容共通テストで問われやすい力
情報社会の問題解決情報モラル、個人情報、著作権、セキュリティ用語を場面に合わせて判断する力
情報デザインUI、情報の伝え方、見やすさ、分かりやすさ情報を適切に整理・表現する力
コンピュータとプログラミング変数、配列、条件分岐、繰り返し、アルゴリズム処理の流れを追う力
情報通信ネットワークとデータ活用ネットワーク、データベース、統計、グラフ、相関データから言えることを判断する力

このように、情報Ⅰはコンピュータの操作方法を学ぶ科目ではなく、情報をどのように扱い、整理し、伝え、社会の問題解決に活用するかを学ぶ科目です。

たとえば、ネットワークやセキュリティの知識は、単なる用語暗記ではなく、個人情報の扱い、通信の仕組み、システムの安全性などと結びつきます。データ活用は、表やグラフを読むだけでなく、何を比較したいのか、どの指標を使えば適切なのかを考える力につながります。プログラミングも、コードを覚えること以上に、処理の手順を論理的に追う力が重要になります。

この意味で、情報Ⅰは「情報・データ・手順・システムの視点から、現実の問題を考える科目」と言えます。

共通テスト情報Ⅰは「知識だけ」では解けない

情報Ⅰでは、もちろん基本知識が必要です。

セキュリティ、ネットワーク、データベース、情報デザイン、アルゴリズム、データ分析などの用語や考え方を知らなければ、問題文を正しく読むことができません。

しかし、共通テスト情報Ⅰでは、知識をそのまま答えるだけではなく、その知識を場面に応じて使う力が求められます。

たとえば、セキュリティに関する問題では、「デジタル署名」「暗号化」「認証」などの用語を知っているだけでは不十分です。それぞれがどのような場面で使われ、何を防ぎ、何を保証するのかを理解している必要があります。

プログラミングの問題でも、特定のプログラミング言語を暗記しているかどうかより、変数、配列、条件分岐、繰り返し処理がどのように動くかを読み取る力が重要になります。

データ活用の問題では、平均、中央値、散布図、箱ひげ図、相関係数などの知識だけでなく、与えられたデータから何が言えるのか、逆に何までは言えないのかを判断する力が問われます。

つまり、共通テスト情報Ⅰで必要なのは、次のような力です。

必要な力内容
基本知識用語や仕組みを理解する
読解力長い問題文から条件を拾う
条件整理情報の流れや処理手順を整理する
処理力プログラムや表の変化を追う
データ解釈グラフや統計から判断する
選択肢比較似た選択肢の違いを読み分ける

この点で、情報Ⅰは暗記科目というより、「知識を使って読んで処理する科目」と考える方が実態に近いでしょう。

大学入試における情報Ⅰの位置づけ

情報Ⅰの重要性を考えるうえで、共通テストにおける扱いも確認しておく必要があります。

2027年度大学入学共通テストでは、「情報Ⅰ」は100点満点、試験時間60分の科目として設定されています。つまり、共通テスト上は、情報Ⅰも独立した1教科として扱われます。

一方で、実際の合否判定における重みは、大学や学部によって大きく異なります。情報Ⅰの重みは、大学・学部によって大きく異なるため、情報Ⅰを比較的低い配点にする大学もあれば、共通テスト全体の中で一定の比率を持たせる大学もあります。

そのため、情報Ⅰを見るときは、単に「情報Ⅰが何点か」だけでは不十分です。

大切なのは、配点だけでなく、共通テスト全体の中での比率を見ることです。そして他教科と比べてどの程度の重みがあるのかも確認する必要があります。

表1:情報Ⅰの配点比率の例

※配点や利用方法は年度・学部・日程によって変わるため、最終的には各大学の募集要項で確認してください。

大学・学部の例共通テスト全体情報Ⅰ共通テスト内の比率見方
神戸大学 システム情報学部 前期300点50点約16.7%他教科と同水準でかなり重い
神戸大学 工学部 前期450点50点約11.1%共通テスト内で無視しにくい
京都大学 法学部 前期950点50点約5.3%共通テスト内では一定の比率。ただし総合判定では圧縮あり
名古屋大学 情報学部 前期950点50点約5.3%主教科より小さいが独立配点
大阪大学 医学部医学科 前期500点25点5.0%医学部でも無関係ではない

この表を見ると、情報Ⅰの重みは大学によってかなり違うことが分かります。

たとえば、神戸大学システム情報学部の例では、共通テスト300点中50点が情報Ⅰです。これは共通テスト内の約16.7%にあたります。単に「情報Ⅰは50点」と見るよりも、「共通テスト全体の6分の1を占める」と考える方が、その重要性が伝わりやすくなります。

一方で、京都大学法学部のように、共通テストの素点では情報Ⅰが50点であっても、共通テスト全体を圧縮して総合判定に利用する大学もあります。この場合、最終的な合否判定における比率は小さくなります。

つまり情報Ⅰは、「全員が同じ重さで対策すべき科目」ではありません。しかし、志望大学・学部によっては、共通テスト内で無視できない比率になることがあります。

表2:神戸大学システム情報学部の例

教科・科目配点共通テスト内の比率
国語50点約16.7%
数学50点約16.7%
理科50点約16.7%
外国語50点約16.7%
地歴公民50点約16.7%
情報Ⅰ50点約16.7%
合計300点100%

このように他教科と並べて見ると、情報Ⅰの位置づけはより分かりやすくなります。

「情報Ⅰだけを見れば50点」と感じても、大学によっては国語・数学・英語などと同じ重みで扱われる場合があります。だからこそ、情報Ⅰ対策では、まず志望校の配点を確認し、その比率に応じて対策量を決めることが重要です。

2025年度・2026年度の出題から見る情報Ⅰの傾向

2025年度の共通テスト情報Ⅰは、初年度ということもあり、比較的取り組みやすい問題が多かったと分析されています。

2025年度の情報Ⅰは、大問4問構成で、配点は第1問20点、第2問30点、第3問25点、第4問25点でした。内容は、第1問が小問集合、第2問が情報システムとシミュレーション、第3問がプログラミング、第4問がデータ活用という構成です。

大学入試センターが公表している平均点を見ると、2025年度の情報Ⅰは受験者279,718人、平均点69.26点でした。一方、2026年度は受験者305,202人、平均点56.59点となり、平均点は大きく下がりました。

もちろん、平均点だけで科目の難易度を単純に判断することはできません。ただ、2026年度は予備校分析でも「難化」とされ、マーク数も2025年度の51から2026年度の60へ増えています。

表3:共通テスト情報Ⅰの年度比較

年度受験者数平均点マーク数傾向
2025年度279,718人69.26点51初年度。比較的取り組みやすい出題
2026年度305,202人56.59点60平均点が低下。処理量の増加、難化傾向が指摘された

この変化から考えると、情報Ⅰは今後、「初年度だから取りやすい科目」という見方ではなく、一定の処理量と読解力が必要な科目として対策する必要があります。

特に注意したいのは、情報Ⅰでは大問ごとの性質がかなり異なることです。

第1問では幅広い基礎知識と短い考察力が求められます。第2問では情報システムやシミュレーションを通じて、情報の流れや条件の整理が問われます。第3問ではプログラムの処理を追う力が必要です。第4問ではデータを読み取り、指標やグラフをもとに判断する力が問われます。

そのため、情報Ⅰ対策では「用語を覚える」「プログラミングだけ練習する」といった偏った学習ではなく、大問ごとの特徴に合わせた対策が必要です。

大問別の出題内容と対策

表4:共通テスト情報Ⅰの大問別整理

大問主な内容問われる力対策の方向
第1問小問集合基本知識、用語理解、短い考察用語を具体例と結びつけて整理する
第2問情報システム・シミュレーション情報の流れ、条件整理、結果の解釈身近なシステムを図にして考える
第3問プログラミング・アルゴリズム変数、配列、条件分岐、繰り返しの読解プログラムを1行ずつトレースする
第4問データ活用グラフ、統計、相関、指標の解釈データから言えること・言えないことを区別する

第1問:小問集合

第1問は、情報Ⅰの幅広い範囲から出題される小問集合です。

2025年度は、デジタル署名、IPv6、7セグメントLED、チェックディジット、ユーザインタフェースのデザインなどが扱われました。2026年度は、コンピュータの記憶装置、情報セキュリティ、基数変換、情報デザイン、メールサーバなどが出題されています。

この大問では、基本知識が必要です。ただし、単純な一問一答だけではありません。知識をもとに、その場で条件を整理する力も求められます。

たとえば、ネットワークやセキュリティの用語は、名前だけを覚えていても選択肢で迷いやすい分野です。「何のための仕組みなのか」「どの場面で使われるのか」「似た用語と何が違うのか」まで整理しておく必要があります。

第1問の対策としては、まず情報Ⅰの基本用語を一通り確認することが重要です。ただし、用語カードのように丸暗記するだけでなく、1つの用語を自分の言葉で説明できるようにしておくべきです。

第1問は、情報Ⅰ全体の土台になる大問です。ここで基本知識に穴があると、第2問以降の読解や判断にも影響します。

第2問:情報システム・シミュレーション

第2問は、情報システムやシミュレーションを題材にした問題が中心です。

2025年度は、スーパーマーケットの情報システムと、おつりとして必要な千円札の枚数を考えるシミュレーションが出題されました。2026年度は、住民情報を扱う情報システムや、画像編集を題材とした論理演算が扱われています。

この大問の特徴は、身近な場面をもとに、情報の流れや処理の意味を考えさせる点です。

たとえば、スーパーマーケットであれば、商品情報、購入履歴、会員情報、レジ、在庫管理など、複数の情報が関係します。住民情報システムであれば、誰がどの情報を入力し、どこに保存され、どのように利用されるのかを整理する必要があります。

つまり第2問では、次のような力が求められます。

  • 情報がどこからどこへ流れるかを追う力
  • システム内での役割分担を理解する力
  • 問題文の条件を整理する力
  • 表や処理結果をもとに判断する力
  • シミュレーション結果の意味を読み取る力

第2問の対策としては、身近な情報システムを題材にして、「情報の流れ」を図にする練習が有効です。

たとえば、コンビニのレジ、ネット通販、交通系ICカード、学校の出欠管理、予約システム、ポイントカードなどを題材にして、どの情報が、誰から、どこへ、何のために送られるのかを考える練習です。

第2問は、情報Ⅰが「社会の中の情報の使われ方」を扱う科目であることがよく表れる大問です。知識だけでなく、問題文の設定を正しく読み取り、情報の流れを整理する練習が必要になります。

第3問:プログラミング・アルゴリズム

第3問は、プログラミングとアルゴリズムの大問です。

情報Ⅰと聞くと、多くの人が最初にイメージするのがこの分野かもしれません。しかし、共通テストのプログラミング問題は、特定のプログラミング言語を高度に書きこなす力を問うものではありません。

むしろ重要なのは、与えられた処理の流れを正しく追う力です。

2025年度は、アルゴリズム、変数、配列、条件分岐、反復に関する問題が出題されました。2026年度は、待ち時間をシミュレーションするプログラミング問題が出題され、状況やアルゴリズム、変数の役割を読み取って考える力が求められました。

第3問で必要になるのは、次のような基本動作です。

  • 変数の値がどのタイミングで変わるかを追う
  • 配列の何番目に何が入っているかを確認する
  • 条件分岐で、どの処理が実行されるかを判断する
  • 繰り返し処理が何回行われるかを考える
  • 処理の途中結果を表に書き出す
  • プログラムの目的を問題文から読み取る

この大問でつまずく生徒は、コードそのものが読めないというより、処理の途中経過を頭の中だけで追おうとして混乱することが多いです。

そのため、対策としては「トレース」の練習が非常に重要です。トレースとは、プログラムを1行ずつ実行したときに、変数や配列の中身がどのように変化するかを追っていく作業です。

最初は、問題文を読みながら、変数の値を表に書き出す練習をするとよいでしょう。慣れてきたら、条件分岐や繰り返しを含む問題で、どの処理が何回実行されるのかを確認します。

第3問は、一見すると情報専門の問題に見えますが、実際には数学の規則性、場合分け、表の整理に近い部分もあります。第3問はコードを書く力より、処理を追う力が重要で、プログラミング経験が少ない生徒でも得点力を伸ばしやすい分野です。

第4問:データ活用

第4問は、データ活用に関する大問です。

2025年度は、尺度水準、散布図、箱ひげ図、相関係数などを含むデータ活用の問題が出題されました。2026年度は、オープンデータ、欠損値、相関係数、散布図、箱ひげ図、回帰分析などが扱われています。

この大問では、数学的な知識も必要になります。ただし、単に統計用語を覚えているかどうかだけではありません。

重要なのは、データを使って何を判断したいのかを考えることです。

たとえば、ある地域同士を比較するとき、単純な人数や件数だけを見ると、人口の多い地域が大きく見えてしまうことがあります。その場合、人口あたりの割合や比率に直すことで、より適切に比較できる場合があります。

また、散布図や相関係数を読むときも、「関係がありそうに見える」ことと「原因である」と言えることは別です。第4問は、データから言えることと言えないことを区別する力が重要です。

第4問で求められる力は、次のように整理できます。

  • グラフや表を正確に読む力
  • 平均、中央値、四分位数、相関係数などの意味を理解する力
  • データの欠損や偏りに注意する力
  • 何を比較するための指標なのかを考える力
  • 選択肢の文意を慎重に読む力
  • データから言えることと言えないことを区別する力

情報Ⅰのデータ活用は、数学の統計と重なる部分があります。しかし、数学との違いは、「現実の問題を考えるためにデータをどう使うか」という視点が強いことです。

そのため、単なる計算練習だけでなく、データを読み、解釈し、判断する練習が必要になります。

2027年度に向けて注意したいポイント

2027年度、つまり令和9年度の大学入学共通テストについても、大学入試センターは実施要項、出題教科・科目の出題方法、問題作成方針を公表しています。

現時点で、2027年度の具体的な出題内容を断定することはできません。しかし、2025年度・2026年度の出題を踏まえると、注意すべき方向性は見えてきます。

まず、大問4問構成を前提に、幅広い範囲をバランスよく対策しておく必要があります。第1問の小問集合、第2問の情報システム・シミュレーション、第3問のプログラミング、第4問のデータ活用という流れは、情報Ⅰの全体像を反映した構成です。

次に、処理量への対応が重要です。2026年度はマーク数が増え、平均点も下がりました。今後も、知識を覚えているだけでなく、問題文、図表、プログラム、データを限られた時間内に処理する練習が必要になると考えられます。

また、第3問のプログラミングでは、コードを書く力よりも、与えられた処理を追う力を重視した対策が必要です。変数、配列、条件分岐、繰り返しを、手を動かして確認する練習を積むべきです。

第4問のデータ活用も、引き続き重要な分野になる可能性が高いでしょう。データ社会において、グラフや統計を読み取り、適切に判断する力は、情報Ⅰの中心的な学習内容の一つです。

したがって、2027年度に向けた対策では、「何が出るか」を細かく予想するよりも、次の力を安定して身につけることが重要です。

2027年度に向けて重視したい力具体的な対策
基本用語を文脈で理解する力用語を丸暗記せず、具体例と結びつける
問題文から条件を整理する力長い設定文を読み、必要な情報に印をつける
プログラムの処理を追う力変数・配列の変化を表に書き出す
データやグラフを読む力グラフから言えること・言えないことを区別する
時間内に処理する力大問別に演習し、読む順番と解く手順を決める

情報Ⅰは新しい科目であるため、出題形式の変化に目が向きやすい科目です。しかし、根本にあるのは、情報を読み取り、整理し、活用する力です。年度ごとの変化に振り回されすぎず、科目の本質に沿った対策を進めることが大切です。

情報Ⅰ対策で重視すべき学習

情報Ⅰ対策では、まず基礎知識の整理が必要です。

ただし、用語を丸暗記して終わるのではなく、それぞれの用語を具体例と結びつけて理解することが重要です。たとえば、セキュリティの用語であれば、「何を守るための仕組みか」「どのような危険を防ぐのか」まで確認します。

次に、問題文を読む練習が必要です。情報Ⅰの問題は、設定文が長くなることがあります。文章を読むのが遅い生徒や、条件を拾うのが苦手な生徒は、知識があっても得点につながりにくくなります。

また、プログラミング分野では、トレース練習を早めに始めるべきです。プログラムを眺めるだけでなく、変数や配列の変化を書き出しながら、処理の流れを追う練習が必要です。

データ活用では、グラフや統計用語の意味を確認したうえで、実際に「このデータから何が言えるか」を説明する練習が効果的です。選択肢の正誤を判断するには、データそのものだけでなく、文章表現を正確に読む力も必要になります。

図2:情報Ⅰ対策の4ステップ

ステップ学習内容目的
1基本用語を理解する問題文を読める状態にする
2問題文の条件を整理する長い設定文で迷子にならないようにする
3プログラムをトレースする変数・配列・条件分岐・繰り返しを追えるようにする
4データを読み取って判断するグラフや統計から正しく判断できるようにする

この4つを意識すると、情報Ⅰを「何となく新しい科目」としてではなく、具体的に対策できる科目として扱いやすくなります。

塾で情報Ⅰを扱うならどうするか

学習塾にとって、情報Ⅰは対応方針を決めにくい科目かもしれません。

英語や数学のように長年の指導ノウハウがある科目ではなく、担当できる講師や教材も限られる場合があります。また、学校によって進度や扱い方に差が出やすく、生徒からの質問内容もばらつきやすい科目です。

そのため、すべての塾が最初から情報Ⅰの通常授業を大きく開講する必要はありません。むしろ最初は、塾の生徒層や志望校に合わせて、小さく始める方が現実的です。

特に共通テスト対策として考えるなら、講座・教材・質問対応を組み合わせながら、必要な範囲から導入していく形が取りやすいでしょう。

塾内で情報Ⅰ講座を作るなら、どのような形が考えられるか

情報Ⅰへの対応は、いきなり通年の通常授業として始める必要はありません

まずは、塾内で扱いやすい形に分けて考えることが大切です。たとえば、次のような講座設計が考えられます。

講座形式内容向いている塾・生徒
90分単発講座情報Ⅰの全体像、共通テストで問われる力、学習方針を整理するまず情報Ⅰの重要性を生徒に伝えたい塾
全4回短期講座用語整理、プログラミング、データ活用、実戦演習を扱う高3向けに最低限の対策を組みたい塾
大問別対策講座第3問のプログラミング、第4問のデータ活用などに絞って対策する特定分野でつまずく生徒が多い塾
直前演習講座本番形式の問題演習と解き方の確認を行う共通テスト前に仕上げたい塾
補助教材+質問対応通常授業化せず、演習プリントと質問対応で補う情報Ⅰに毎週の授業枠を割きにくい塾

たとえば、全4回講座にするなら、次のような構成が考えられます。

テーマ扱う内容
第1回情報Ⅰの基礎知識情報社会、セキュリティ、ネットワーク、情報デザイン
第2回プログラミング・アルゴリズム変数、配列、条件分岐、繰り返し、トレース
第3回データ活用グラフ、統計、相関、指標、データの読み取り
第4回共通テスト型演習大問別演習、時間配分、選択肢の読み方、復習方針

このように整理すると、情報Ⅰは「専門講師がいないと何もできない科目」ではなく、共通テストで問われる内容に合わせて、必要な部分から対策を始められる科目です。

夏期講習で情報Ⅰを扱うという選択肢

情報Ⅰは、通常授業として毎週開講するにはハードルが高い一方で、夏期講習や季節講習の1テーマとして導入しやすい科目です。

たとえば夏期講習であれば、次のような形が考えられます。

夏期講習での導入例内容狙い
情報Ⅰ入門講座情報Ⅰの全体像と共通テストで問われる力を整理する高2・高3に危機感を持たせる
全4回短期対策講座用語整理、プログラミング、データ活用、実戦演習を扱う夏のうちに基礎を一通り固める
大問別集中講座第3問プログラミング、第4問データ活用などに絞る苦手分野を短期間で補強する
共通テスト演習講座本番形式の問題演習と解説を行う秋以降の学習方針を明確にする

夏期講習は、生徒にとっても塾にとっても、新しい科目を試験的に扱いやすい時期です。通常授業の時間割を大きく変えなくても、短期講座として情報Ⅰを導入することで、生徒の反応や質問内容を見ながら、その後の教材作成や質問対応につなげることができます。

特に高3生にとっては、秋以降に英語・数学・理科・社会の演習量が増えるため、情報Ⅰの基礎整理を夏のうちに済ませておく意味は大きいです。高2生に対しても、共通テストで情報Ⅰがどのように問われるのかを早めに知っておくことで、学校内容の理解や自習の方向性を整えやすくなります。

また、情報Ⅰは質問対応の体制も重要です。生徒が学校や自習で学んでいる中で、「このプログラムの動きが分からない」「このグラフからなぜこの選択肢になるのか分からない」といった質問が出てくる可能性があります。

そのような質問に対応できる体制を整えるだけでも、生徒や保護者の不安を減らすことにつながります。一方で、教材作成や授業設計、質問対応の体制づくりまで塾内で行うのは、負担が大きい場合もあります

Sixpack Educationでは、学習塾向けに、情報Ⅰ対策の講座設計、教材作成、演習プリント作成、確認テスト作成、質問対応体制づくりを支援しています。

「情報Ⅰを扱いたいが、どこから始めればよいか分からない」「夏期講習や短期講座として導入したい」「プログラミングやデータ活用の教材を用意したい」「通常授業化せず、質問対応や補助教材で対応したい」といった場合も、塾の状況に合わせて、無理のない形で情報Ⅰ対策を設計することができます。

まとめ

情報Ⅰは、プログラミングだけの科目ではありません

情報社会、情報デザイン、ネットワーク、セキュリティ、データベース、データ活用、アルゴリズム、プログラミングなどを幅広く扱い、それらを現実の問題解決に活用する科目です。

共通テスト情報Ⅰでは、基本知識に加えて、問題文を読み取る力、条件を整理する力、プログラムの処理を追う力、データやグラフを解釈する力が求められます。

また、大学入試における情報Ⅰの重みは、大学・学部によって大きく異なります。配点だけを見ると小さく見える場合でも、共通テスト全体の中で見ると、他教科と同水準に扱われる大学もあります。

2025年度は比較的取り組みやすい出題でしたが、2026年度は平均点が下がり、処理量の増加も指摘されています。今後に向けては、用語暗記やプログラミング単体の練習に偏らず、大問ごとの特徴に合わせた対策が必要です。

学習塾で情報Ⅰを扱う場合も、いきなり大きな通常授業を作るだけが選択肢ではありません。短期講座、演習教材、質問対応、個別フォローなど、塾の状況に合わせた導入が現実的です。

Sixpack Educationでは、大学入試分析を踏まえた教材作成・授業設計・質問対応体制づくりを支援しています。情報Ⅰ対策についても、塾の状況に応じてご相談いただけます。

本記事は、教育現場での学習設計や教務改善の参考情報として作成しています。大学入試に関する最新情報は、各大学・大学入試センター等の公式情報をご確認ください。

参考資料

AUTHOR

藤崎 蒼司のプロフィール写真

藤崎 蒼司

合同会社Six Packs 代表 / Sixpack Education 運営

和歌山県立医科大学医学部在籍。学習塾・家庭教師・オンライン指導などで小中高生の学習支援に携わるほか、家庭教師サービスでの営業・提案活動を通じて、数多くのご家庭の学習相談や進路相談を経験。現在は、学習塾向けに授業支援・教材作成・教務改善・AI質問対応サービスを提供している。進路アドバイザー資格保有。

CONTACT

情報Ⅰ対策について相談する

Sixpack Educationでは、学習塾向けに大学入試分析を踏まえた教材作成・授業設計・質問対応体制づくりを支援しています。情報Ⅰ対策についても、塾の状況に応じてご相談いただけます。

情報Ⅰ対策について相談する